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病気と薬の話し/脂質異常症

うつ病

 仕事や家庭環境、人間関係などの日常のいろいろな出来事からストレスが加わると気分が落ち込んだり、イライラして物事にやる気が起きないなど、心の疲れは誰もが経験することです。

 ほとんどの場合は数日で回復し普段の状態に戻ることが多いのですが、時に気分の落ち込みを回復できず、数週間以上続く場合はうつ病の可能性が考えられます。一般的に2週間以上が診断の目安とされます。またうつ病は眠れない、食欲がないなどの身体的症状が特徴で結果、日常生活に支障をきたしてしまうことがあります。

うつ病の症状

こころの症状…1日の中でも変化があり、比較的午前は悪く、午後から軽快することが多い(日内変動)

    【1】気分の低下
  • 気分が落ち込む
  • 憂鬱
  • もの悲しい
  • 絶望感
    【2】思考力の低下
  • 集中力がなくなる
  • 考えがまとまらず,決断が出きない
  • 何でも悪い方に考える
    【3】意欲の低下
  • 倦怠感
  • 何をするのも億劫
  • テレビや新聞を見ても面白くない
    【4】体の症状
  • 睡眠障害、疲労
  • 食欲不振、体重減少
  • 性欲減退、月経不順
  • 関節痛、四肢痛、肩こり

もっとも高頻度なのは睡眠障害で、睡眠、体重に関してはそれぞれ過多、増加傾向になることもある

 

うつ病を引き起こすきっかけ

  1. 体の病気や薬剤が原因…脳血管障害、パーキンソン病、認知症、糖尿病、悪性腫瘍などの疾患が基礎にあったり、あるいは薬の副作用として二次的に起こるものでうつ病を惹起する可能性のある薬剤としてステロイド、インターフェロン、抗パーキンソン病薬、抗てんかん薬、向精神薬などがあります。

  2. 生活環境の変化が原因…失業や定年、結婚、引越し、近親者との死別などがあり、悲しい出来事だけでなく喜ばしい出来事もうつ病を惹起する環境的要因になり得ます。

  3. 性格や素因が原因…まじめで几帳面、律儀、頼まれると嫌と言えないなど特有の病前の性格や何らかのうつ病になりやすい素因があり、そこに精神的ストレスや過労などが加わって発症すると考えられています。

神経伝達の仕組み

うつ病の治療

  • 十分な休養:患者さんは仕事や家事など抱えている負担を下ろし、休むことを拒んだりためらったりしがちです。しかし中途半端な休養では反対に症状を悪化させることがあります。したがって入院や休職なども考慮し、疲れがたまらないような環境を作っていくことが必要になります。

  • 薬物療法:脳は多くの神経細胞(ニューロン)で構成されていますが、それぞれの神経は直接繋がっているわけではなく、シナプスという狭い間隙を隔てて接しています。ここで情報を伝達する働きを持つ神経伝達物質が放出され情報を橋渡しすることによって物事を考えたり行動したりすることができるのです。

    気分や記憶、意欲などの情報伝達を司る物質にセロトニンやノルアドレナリンがあります。このセロトニンやノルアドレナリンの代謝異常、特に再取り込みの亢進による濃度の低下とそれによるバランスの崩れが生じるために、気分が落ち込んだり、意欲が低下したりして、うつ病の症状が現れるものと考えられています。

    抗うつ薬はそれらの情報伝達物質の再取り込みを阻害する事によりシナプス間隙のノルアドレナリンやセロトニンの濃度を増加させます。抗うつ薬には三環系抗うつ薬、四環系抗うつ薬、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)、SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン阻害薬)などがあります。最初は少量から始め、徐々に量を増やしていきます。十分な効果が現れるまでに4〜6週間かかるので焦らずきちんと服薬していくことが大切です。

 

分類 商品名(一般名) 特徴 副作用






トフラニール(イミプラミン)
  • 抗うつ作用は確実性があるが作用発現が遅い
  • 鎮静効果もあるが気分の改善効果に優れる
  • 抗コリン作用がかなり強い
アナフラニール(クロミプラミン)
  • 抗うつ効果が最も強力
  • 抗コリン作用が強い
  • 抗コリン作用が強い
トリプタノール(アミトリプチリン)
  • 強力な鎮静作用を持ち、イライラが強い場合に有効
  • 抗コリン作用が最も強く、眠気も強い
ノリトレン(ノルトリプチリン)
  • 意欲の改善効果が三環系抗うつ薬の中で強い
  • トリプタノールと同程度の抗コリン作用を示す
アモキサン(アモキサピン)
  • 効果の発現が迅速
  • 三環系としては抗コリン作用が少ない






ルジオミール(マプロチリン)
  • 意欲低下や身体症状が主体の場合に効果的
  • 抗コリン作用や心機能への影響がほとんどない
テトラミド(ミアンセリン)
テシプール(セチプチリン)
  • 単独で使用してもほとんど効果が期待できない抗うつ効果
  • 眠気が非常に強く鎮静効果を期待して使用
  • 抗コリン作用や心機能への影響がほとんどなく、安全性が高い
SSRI デプロメール・ルボックス(フルボキサミン)
パキシル(パロキセチン)
ジェイゾロフト(セルトラリン)
  • 効果は従来の三環系抗うつ薬よりやや弱い
  • 抗コリン作用・抗ヒスタミン作用など従来の抗うつ薬特有の副作用がほとんどなく、吐き気などの消化器症状があり(フルボキサミン>パロキセチン)

 

治療中における注意

  • 重大な決断は避ける…うつ状態の際、考え方が悲観的になり物事を判断するベストの状態とは言えません。結婚や転職などの重大な決断はしばらく置いておき、治ってから決定するようにしましょう。

  • 飲酒は避ける…飲酒により抗うつ薬の作用が強く出すぎ、副作用が出やすくなったりまたうつ病自体の症状を悪化させたりするなどマイナスな要素が多いので治療中の飲酒は控えましょう。

  • 回復を焦らない…うつ病は治療を開始して劇的に良くなるわけではなく良くなったり悪くなったりという状態を繰り返しながら徐々に回復していく病気です。そのためすぐに良くらないことを悲観せず根気よく病気と向き合うことが大切です。
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